平成14年11月<薬物除去顛末記>

灯火親しむころ、皆様にはいかがお過ごしですか。イベントシ―ズンでもありまして、各地で運動会、スポ−ツ大会、おまつり、歌や踊りの発表会、そして研修会と、何かとあわただしくも心地よい充実の季節であります。私も真に実りの秋にしたいと思っております。           

1.       地域とともに

a.薬物除去顛末記

 本年5月、私の家のすぐ近所、宇須にあります倒産した協和薬品工業叶ユ地に劇物、危険物に指定されるアニリンと危険物に指定される重油、それに硫酸、塩酸が三年間も大量に放置されているとの情報があり、地元高松連合自治会、地域安全推進会において、騒ぎが大きくなって地元住民の皆様を不安に陥れないよう内々に協議して市消防局とも速やかな対応を検討していたさなか、日刊紙に大きく報道されることになり、地元は大きな不安に包まれてしまいました。私も地域の一議員としての責任を全うすべく、当該工場跡地の根抵当権者である金融機関等と個々にタンク内の薬物の抜き取りの際の同意を求めに回ったり、連合自治会の中で立ち入り禁止を呼びかける看板設置、連日市消防局や県薬務課の方々と協議、ご指導をいただき、県、市、県警への協力要請、陳情行動、そして元社長の所在を確認して、地元役員さんと一緒に出向いて薬物除去に対する要請を行い、元社長の顧問弁護士とも連絡をとって状況説明を受けました。

 その間、地元説明会、現況報告をしていくうちに、アニシジン、苛性ソ―ダといった新たな薬物の残存も発覚し、地元の安全の確保は自分達でできる限りやろうという積極的な行動と熱意を行政にもご理解いただくところとなって、行政側の顧問弁護士と裁判所との打開にむけての協議、それに薬物の除去にあたって民間会社のボランティアで協力いただけることにもなり、日を追うごとに解決に向かっていきました。7月31日にアニリン、重油、そしてアニシジン、9月5日には硫酸と苛性ソ―ダ、そして最後9月10日には塩酸をそれぞれ行政関係者、企業関係者、地元役員、議員、それに元社長の立会いの上、除去いただきました。たくさんの企業の皆様、県薬務課、市消防局と保健所の皆様に暑い中、悪臭の中、危険を伴いながらの作業で大変お世話なったことを付記させていただきます。また、薬品の所在を前もってお知らせいただいた方、そして地元の化学会社のご協力、ご理解があったればこそ問題解決できたことも忘れてはいけません。突っ走りがちな私をいさめてくださる方もいらっしゃいました。本当に皆さんに感謝、感謝であります。ありがとうございます。

 薬物の除去という一つの目的に向かって住民、企業、そして行政が一丸となって解決を導けた、地域での共存共栄への道をつける出来事であったなとすがすがしい気持ちを抱いた次第です。

 ある行政幹部におすがりすべく、夜遅くご自宅まで押しかけて相談に行かせていただいたこともありました。和歌山県そして和歌山市当局の皆様、ボランティアでご協力いただいた化学会社、そして薬物の運搬、処理会社の皆様、近隣の学校関係者の皆様、そして地域住民の皆様、本当にご協力ありがとうございました。

 

 b.「華岡青洲の妻」の上演について

 本年5月、和歌山県立図書館長から、「図書館が地元にお世話になって10年を迎えるし、地域に開かれた図書館として何か地元の皆様といっしょにやれれば」というご提案をいただきました。館長より、那賀町の女性が劇団「華岡青洲」をつくって「華岡青洲の妻」の公演が評判だとお薦めいただき、連合自治会長、公民館長と相談したところ、今年度の公民館の「ふれあい学級」の一つに取り上げていただきました。その後、公民館長を中心に地元への回覧、公民館、人権委員会、婦人会、老人会への呼びかけ、図書館側からも来館者、近隣地域へのお呼びかけ、そして新聞への掲載、近隣地区へも共催のお願いや付近の七つの小学校PTAへのお呼びかけなどに私も奔走し、約300名の皆様が928()午後2時からの上演にお越しくださいました。

 皆さん時折涙ぐまれたり、笑いありやらで熱心に最後まで鑑賞いただきました。前日、当日と県立図書館の皆様には朝から夕方まで何かにつけてお骨折りをいただきました。本当にありがとうございました。

 昨今、青少年の国語力の低下、読書ばなれ、活字ばなれが指摘される中、せっかく地元に県立の図書館があるのですから、地域とますますつながっていただいて、小さい子供さんをもつ保護者世代の方々、それに若者世代にも図書館を利用してもらえればなあと思います。今後とも県立図書館さんに地元地域にもさらにご協力ご理解いただけるよう、こちらからもご提案させていただきたいと思っております。