長政研レポート vol.36号 寒紅号 議会報告
<平成22年9月県議会 一般質問>
1. 和歌山県のがん対策について
(長坂)国立がんセンター名誉総長、(財)日本対がん協会会長の垣添忠生先生の講演を拝聴した。先生自身も5年前に腎臓がん手術、大腸のポリープ手術をされているが、奥さんも3回がん手術を受け、抗がん剤治療で闘病されていた。垣添氏も訓練を受けて医師・看護師・介護士の役目を果たし、奥さんの希望で年末に自宅へ帰ったが、奥さんは正月を迎えることなく大晦日に享年78歳で亡くなった。2日前からこん睡状態だったが、なくなる直前ぱっと目を開けて、先生の手をぎゅっと握って「ありがとう」の気持ちを示すように亡くなったそうだ。垣添氏は、「在宅希望者が多いがなかなか実現しない。いかにしてがんの在宅医療を充実させるか、精神の荒廃をどう和らげていくかが問題だ」と言われていた。食事もろくにとらず酒に明け暮れていて立ち直るまでに一年かかったと言うが、そんな人を支援するための「グリーフケア」の必要性も語られていた。中高校教育の中で、もっと喫煙の問題やがんの教育をすべきと力説されていた。日本は年間34万人ががんで死亡し、うち20万人はがんで配偶者を失っている。在宅医療を充実させるためには、病院、かかりつけ医、在宅医療に興味を持つ看護師あるいは介護士等の連携が必要で、医療従事者だけ声を出していてもだめ、行政、政治の強力を得るべく患者、家族の皆さんからどんどん声を出してほしいと締めくくっておられた。がん患者の罹患、生存、死亡等の転帰その他の状況等を把握、分析するためには院内がん登録及び地域がん登録の整備が必要だ。本県の進捗状況はどうか。
(福祉保健部長)がん登録は、がんの種類や発症年齢、治療状況などの情報を把握して、適切な対策や医療の確保を図るうえで重要だ。県では県内のがん診療連携拠点病院6病院と、平成21年度からは拠点病院以外の5病院の計11病院にて院内がん登録を実施している。地域がん登録については、その法整備等について国に対して提案するとともに、県立医大をはじめとするがん診療連携拠点病院、県医師会、県病院協会などの協力を得ながら、他県の取組も参考にし、その実施に向けて検討を進めている。
(長坂)各医療圏ごとにがん診療連携拠点病院の設置は必要だが、現在有田、新宮、日高医療圏にはない。がん診療連携拠点病院には一定以上の各種がん治療機器やがん専門医の配置が必要だと思うが、今後空白医療圏へのがん拠点病院設置等医療体制の整備はどうか。
(福祉保健部長)国のがん対策推進基本計画では、原則として全国すべての2次保健医療圏において、おおむね1ヵ所程度拠点病院を整備することになっている。本県では各医療圏のほとんどが小規模で、和歌山保健医療圏以外での医療資源は限られているという現状がある。このため国指定のがん診療拠点病院のない医療圏を中心に、地域の拠点病院のうち一定要件を満たすものを県が独自に「がん診療連携推進病院」として指定し、本年6月に国保日高総合病院を指定した。
(長坂)2006年9月制定の島根県がん対策推進条例を皮切りに、高知、新潟、神奈川、長崎、奈良、徳島、愛媛各県で相次いでがん条例が制定された。がん死亡率の高い本県にとってがん対策に全県挙げて取組んでいくという姿勢を示すためにも、条例の制定は必要ではないか。
(知事)平成20年3月、国のがん対策推進基本計画を基に、本件の状況を踏まえて和歌山県がん対策推進計画を策定した。県及び市町村、あるいは拠点病院をはじめとする医療機関や関係機関・団体、それに県民が一体となって取組んでいく必要があると明記しており、県ではこの計画に基づき、がんによる死亡率の減少とすべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減と、療養生活の質の維持向上を目指して、がん対策を積極的に推進している。「がん条例」については、いくつかの県と市町で議員提案により制定され、がん対策の推進が図られていると聞いているが、本県においても、がん対策推進計画に基づく取組を進めながら、条例について他県の取組などを参考に研究していきたい。
(長坂)本県は全国有数のがん死亡率の高い県であって、本県ならではのがん条例を作っていくべきだ。がん診療には経済的問題、心理的問題も重要であって、相談支援や精神的ケアも充実させてほしいものだ。だからこそ、民間での患者会ネットワークや患者サロンを作る活動への支援も考えていただきたい。市民と行政・医療者などが話し合うがんのタウンミーティングにも注目いただきたい。こんな取組を実効あるものにするためにもがん条例は必要だと思う。
2. 和歌山県としての食品開発戦略について
(長坂)去る9月6日に地方独立行政法人北海道立総合研究機構食品加工研究センターを視察、概況説明をいただいた。北海道の食品工業は出荷額が全製造業の37%を占め、北海道科学技術振興戦略の戦略研究3分野の1つに位置づけられている。平成4年に食品工業の活性・育成をはかって時の横路道政の時に発足し、高橋道政になっても重要な地位を占めている。今4月からもう少し機能的に動けるようにと独立行政法人化された。北海道も売上高50億円以下の中小零細企業が多く、センターの職員自らが現地へ訪問して技術支援を行っている。1人の職員が5社を担当するといったノルマもあるそうだ。大学との連携よりも企業との連携の方が強いという印象を受けた。研究テーマは企業の要望調査からといったボトムアップ型が基本だ。特に加熱水蒸気処理技術が優れ、食品のおいしさの保持や賞味期限の延長等に効果を生み出している。また漬物から作った植物性乳酸菌利用で特許の許諾件数も多くなっている。北海道立食品加工研究センターのホームページを覗くと、「食品加工研究センター」新ビジョンと言うものが見れる。その中にはビジョン策定時に数値目標を設置している。付加価値率の向上も食品工業の目標として設定されている。北海道も科学技術振興条例が近年制定され、食品分野が北海道の将来を担う重要な戦略研究分野と位置づけられている。本県も昨年10月6日和歌山県新技術創出推進条例が交付され、科学技術振興を積極的に図っていく意気込みを県民に示している。本県も県工業技術センターでの研究開発、技術支援等に具体的な数値目標を設定していってもいいのではないか。
(商工観光労働部長)平成19年6月に策定した「和歌山県工業技術センター中期計画」において、数値目標として受託試験・受託研究等の拡大に伴う事業収入金額の増加や、提案公募型研究の獲得件数の増加、知財の登録数・実施契約数の増加を掲げ、おおむね達成できた。本年度から、新たな中期計画の策定を行い、食品産業技術の振興も含めた組織マネージメントや財務などを含む多方面からの視点に基づき、策定のうえ、名称も「和歌山県工業技術センター中期経営計画」と改め、平成26年度を目標年度として本年度から鋭意取組んでいる。県全体の産業技術政策としては、本年4月に策定した「和歌山県産業技術基本計画」において、今後5年間における製品出荷額、従業員数、付加価値額の数値目標を定め、計画達成に邁進する。
(長坂)今年4月より県工業技術センターの食品開発室が食品産業部として昇格してスタッフも8名に増えた。この食品産業部を本県の持つポテンシャルを最大限に生かす食品加工の中核施設として最低限必要な充実を加えていただきたい。センター内の設備機器の利用頻度・活用状況を今一度洗い出していただく、そして企業のニーズを吸い上げるためにアンケートやヒアリングを実施すべきだが。
(商工観光労働部長)食品産業部では現在9台の機器を保有しており、工業技術センターにおける研究開発に活用しているほか、民間企業にも広く利用いただいている。民間企業による利用頻度の高い機器は、「凍結乾燥機」や「真空包装機」などがあり、それぞれ年間29〜30回程度の利用がある。「粉体造粒装置」は年間利用が8回程度だが、これは顆粒状の食品製造には欠かせない機器で、こうした食品製造を行う企業にとっては不可欠な装置だ。本年度も6種類の機器の追加導入を予定しているが、これらも民間企業による利活用を呼びかけてまいりたい。調理実習試験室については、工業技術センターでこれまでに整備した機器を活用することで、食品加工や食品の試作が行えることから、今後とも県内事業者のニーズに対応した機器の充実を図ってまいりたい。また工業技術センターで県内の中小・中堅企業をリスト化し、町内関係各課と共同して、計画的に企業訪問し、意見交換を行っている。今後とも企業ニーズの把握に努め、工業技術センターの支援機能の充実・強化に努める。
(長坂)和歌山県の食品開発戦略について知事の所見は。
(知事)ミカン・梅・柿を始め豊かな農水産物資源を活用した食品開発は、農業振興のみならず地域活性化の面からも県民の皆様に大きな期待を持っていただけると信じていて、様々な方法を駆使して、和歌山発の加工品作りに力を注いでいかなければならないと考える。今まで和歌山県は農水産物の加工という面ではあまり良い成績ではなかったので努力してきた。平成20年度から食品加工にかかるヘッドクオーターを設置して、関係部局の連携により情報の共有・一元化を計っていて、現在「大手食品・飲料メーカーとの連携による商品開発」とか、地元の自発的な動きも含めて「生産者グループ等による加工品開発」とか、あるいは「健康志向を踏まえた果実の機能性成分の技術的・研究的な開発」の3つを柱に、国の資金活用とか、大学等との連携とか地域の人たちを励ますとかして取組を進めている。平成21年10月に作っていただいた条例をもとに産業技術基本計画を制定している。加工食品などのバイオ技術を4つの重点分野のうちの1つとして捉えており、熱心にやっていきたい。たとえば、工業技術センターを組織改編して県内企業による新商品開発や加工技術上の課題解決などにかかる支援をいっそう強化した。こうした取組で、梅酢ポリフェノールの機能性解明、農商工連携によるジンジャーエールの商品化など、徐々に製品・成果が出てきている。今後とも、生産者や関係業界の皆様、研究機関との連携を強化し、機能性研究や技術開発に努めることにより、果樹王国和歌山の発展、食品産業の育成に取組んでまいりたい。
3. 県の鳥獣害対策について
(長坂)今年の夏は殊の外暑い日が続いており、山にすむ動物も食物を求めて山を下りることを余儀なくされて、各地で鳥獣による被害が頻発しているものと思う。最近猟友会等狩猟に携わる人口が高齢化等で減少していることも鳥獣の繁殖に影響しているのではないか。2007年12月14日の佐世保の銃乱射事件を契機に銃刀法が改正され、猟銃の所持者は所持許可更新時にその操作及び射撃の技能に関する講習を受けることを義務付けられた。試験で皿を撃つ技術と実際に山野で鳥獣の動きに即応して銃を撃つのとは全く異なるものだ。本県猟友会員は平成20年6月現在で満29歳以下が1%、満30歳以上39歳以下が5%、満40歳以上49歳以下が9%、満50歳以上59歳以下が27%、満60歳以上69歳以下が34%、満70歳以上が24%となっている。第1種会員では満55歳までが25%、満56歳以上65歳までが37%、66歳以上が38%と高齢化は歴然としている。銃刀法も改正された中、県は鳥獣害対策をどう考えているか。
(農林水産部長)県下の野生鳥獣による農作物の被害額については、年間約3億円で推移していて、深刻な状況であると認識している。県はこれまで被害対策として防護柵の設置支援や有害鳥獣捕獲の補助、またわな設置資材の補助、さらに地域の被害対策を支援する「鳥獣害対策アドバイザー」の育成等様々な取組を行ってきた。イノシシやニホンジカについては、狩猟期間の延長やくくりわなの12cm規制の解除などに取組むとともに、この9月3日には被害が拡大しているニホンジカについて捕獲頭数制限を撤廃した。しかし、鳥獣による被害が依然として減少しない中、これまで以上に捕獲に力を入れていく必要があると考えていて、狩猟に携わる人の高齢化、また昨年12月の銃刀法改正施行ということがあるが、現在猟友会等の関係団体の皆さんから人材の確保について意見を伺っているところで、今後鳥獣害対策の中に反映してまいりたい。
(長坂)狩猟者のさらなる減少を食い止めるため、国の方へも弾力的な運用を当局からも要望いただきたい。最近大変増加しているのは特定外来生物のアライグマによる被害だ。特に農作物の被害が起きる、スイカやミカン、カボチャなどの被害が深刻化している。市街地でもアライグマの出没が確認されているが、県のアライグマ被害対策はどうか。
(農林水産部長)県下におけるアライグマの被害については、平成14年ごろから発生が見られ、昨年度の被害額は野菜、果樹を中心に約3千万円となっている。アライグマは、毎年1頭の親から平均4頭を出産する高い繁殖能力を持つことから、このままで放置すると生態系等への被害を及ぼす恐れがるとして、平成17年、外来生物法により特定外来生物に指定された。本県においても外来生物法に基づく実施計画を策定した23市町村においては、わな猟免許を保有しなくても、箱わなで捕獲できるようになっており、昨年は県下で約1500頭が捕獲された。アライグマ対策は捕獲が最重点で、未策定の市町村に対し実施計画の策定を促進するとともに、引き続き捕獲檻の設置を支援するなど、アライグマによる農作物への被害軽減に努めて参りたい。
4. 和歌山県の教育について
(長坂)最近日本の教育について海外と比較したデータに気になるものがいくつかある。2007年現在の統計で、教育機関に支出される日本の公的支出の割合は国内総生産費(GDP)費で3.4%とデータのある加盟28カ国の中で最下位になった。GDP費の公的支出は加盟国平均で5.2%で、最も高かったのはデンマークの7.8%、ついでアイスランドが7.4%、スウェーデンとノルウェーが6.7%だった。日本では子ども1人あたりの教育支出はOECD平均を上回っているが、家計などの私費負担の割合が高い。日本は教育支出のうち私費負担が33.3%を占め、加盟国平均の17.4%を大きく上回っている。また、(財)日本青少年研究所が公表したもので、日中に加え、韓国、米国の計4カ国の高校生にアンケート調査を行った結果、日本は「授業と宿題以外の勉強をしない」「授業中は居眠りをする」とこたえた高校生の割合が突出して多かったのだ。同研究所は「日本の高校生は勉強への意欲が低いのではないか」と分析している。授業・宿題以外の勉強を「しない」と答えた高校生の割合は日本がトップ、高1で38.3%、高2で34.9%、高3では28.9%に上った。一方中国では7.7〜5.3%といずれも1割に達していない。米国では27.1%〜16.1%、韓国は21.8%〜11.4%と日本より低くなっている。「授業中居眠りをする」と答えた高校生も、日本が男女ともに40%超(男子48.9%、女子41.7%)でトップ。韓国(男子31.6%、女子33.1%)、米国(男子26.3%、女子14.7%)が続き、中国(男子6.1%、女子3.4%)は最も低くなっている。大学受験を控えた高3だけは授業・宿題以外で勉強する高校生も多いようで、「超学歴社会」と呼ばれる韓国についで多かったようだ。同研究所は「日本は与えられたこと、目前に迫った課題に向かってしか勉強しない高校生が多い」と見ている。もうひとつスイスの国際経営開発研究所(IMD)による海外留学生数の調査(2009年)で、日本は調査対象57カ国・地域中41位に低迷している。米国への留学者数は、日本が前年比14%減の2万9264人だったのに対し、中国は21%増の9万8510人、韓国は9%増の7万5065人だった。大手商社や外務省でも最近海外赴任を希望する若手社員・職員が激減していると言う。以上のような傾向と比較するかのように、日本の国力は低下している。国民1人あたりの国内総生産(GDP)は平成12年の世界3位から、20年には23位に転落。IMDによる国際競争力ランキングでは、日本は1990年(平成2年)の1位に対し、今年は27位に甘んじている。日本の国際的地位の低下はどうも教育から来ているとしか言いようがない。日本はかつてのトレードマークであった「勤勉」、それも愚直な勤勉さ、そしてハングリー精神が必要ではないか。小中学校時代から「人の役に、社会の役に立ちたい」と思える教育が必要だ。子どもが将来の志や夢を持てるような教育、特に産業が少なくて人口減少している和歌山県ではなくてはならないものだと思う。社会に出て、人のため、地域のため、そして日本のために働ける人材を輩出できる教育、すなわち子どもが将来の志や夢をもてる教育について教育長の所見を尋ねる。
(教育長)子どもたちが将来への夢を持ち、志を抱いて社会に出て行こうとする人材の育成は、教育に課せられた大きな取組課題であり、自立した社会人として活躍するために必要となる資質・能力の育成に努めることは、きわめて重要なことであると考えている。本県では平成20年度から「自立」「共生」「社会参加」の3つをキーワードとして、地域の方々と一体となって「市民性を育てる教育」を実施している。小学校段階から公共の精神や帰属意識を育てるとともに、より良い社会の実現に向け、自他共に大切にし、義務と責任を果たしながら積極的に社会に参画しようとする意欲や態度を育成している。またふるさと教育を通して、郷土の自然や産業、先人の努力や工夫を知ることにより、地域のすばらしさに気づき、郷土を愛し守り育てる心を育てている。公立中学校や高等学校では、職場体験活動や地域の人材を活用した出前授業、あるいは講演会等を実施し、将来自分がどのように社会に参画していくかを考える取組も行っている。今後も確かな学力、豊かな心、健やかな体と言った教育の根幹部分を大切にしながら、学校・家庭・地域の関係者が、共に学び協働した取組を進める地域教育コミュニティを拡大し、子どもたちが人として育つ多様な学びの場を作ることによって、社会の形成者としての確かな自覚を持ち、地域社会づくりや国づくりに貢献できる人間力を育てていく。
<平成22年9月22日 経済警察委員会>
(長坂)中国人観光客の本県への入り込み数、観光傾向、外国人の中での比率、行き先、宿泊日数、団体型あるいは家族・個人型、またお土産の購買状況等が分かれば教えてほしい。
(商工観光労働部)本県への外国人観光客数については、平成21年の宿泊客数で約12万8千人となっている。香港と台湾からの観光客が多く、この2つで約半数を占めており、中国からの観光客は、約4千人で3%程度、主な宿泊先は和歌山市や白浜となっている。
(長坂)海外からの旅行客の気持ちとしては、何泊かあれば1ヵ所集中ではなく日ごとに何ヵ所かを泊まっていくパターンが多いと思うが本県ではどうか。
(商工観光労働部)大別すると、関西空港の発着前後に和歌山市に宿泊する場合と、紀伊半島周遊にあたって白浜等に宿泊する場合がある。
(長坂)多分関西では、大阪、京都、神戸とは違った目的で、一回の旅行の中に和歌山県が入っているとすれば、海、山、温泉、あるいは新鮮な食事を目的に来ていると思うが、外国人、特に中国人向けの旅行に対し、他府県観光との連携、それに加え、白浜へ入ったら勝浦へ、あるいは本宮へといった県内の観光地と連携した売り込みが必要と思うがどうか。
(商工観光労働部)中国をはじめとして海外からの観光客を誘致するにあたって、他府県・観光地間で連携することで、より魅力的な観光資源を旅行会社や旅行者に提供することができるため、連携は重要だ。今年度の中国に対するプロモーションでは、奈良県や県内の観光事業者と連携して、現地の旅行会社へのセールスコール・商談会等を実施する。今後とも、他府県との連携、観光地間の連携を行うことにより、効果的なプロモーション活動を行っていきたい。
(長坂)今まで競争してきた神奈川県箱根町、湯河原町と静岡県熱海市がとうとう「箱根・湯河原・熱海・あしがら観光圏」を形成したようだ。本県でも、高野・熊野、白浜・勝浦等のセット、あるいは他府県とのテーマを持った連携を探っていただきたい。
(長坂)1台に2人乗れるタンデム自転車を用意して、5月30日紀ノ川河川敷でのイベントで、障害のある方々にも参加いただいてタンデム車走行会を行った。2人で乗る一体感・連帯感はすばらしく、視覚障害者を始め多くの障害者、高齢者にも、スポーツ・レクリエーション、生活における送迎、健康面、環境面からも有用な乗り物である。前席に乗る人はパイロット講習を受けることを条件に、タンデム自転車を走らせても良い道路、すなわち自転車専用道路や自転車・歩行者専用道路など、公道で走行できるようにすることを和歌山県でも検討いただけないか。欧州など海外では一般の自転車と同様に公道でも利用が可能であり、長野県、山形県、兵庫県ではすべての公道で走行可能、他都道府県でも自転車専用道路等では走行可能なところがある。本県でも、ノーマライゼーションの促進、健康面、CO2削減といった環境面からもタンデム自転車を交通手段の1つとし、和歌山県道路交通法施行細則すなわち県条例の改正を検討する時期に来ているのではないか。
(警察本部)本県では一般公道での2人乗りタンデム自転車の利用は禁止されている。理由は、2人乗りタンデム自転車は普通の自転車より車体が長く小回りがきかないこと、複数人でペダルをこぐため急制動等の操作が困難であることなどから、一般公道を走行すると歩行者や車両等との関係から道路における危険を生じさせる恐れがあるため、交通安全の面から禁止している。今後、他県におけるタンデム自転車の利用状況、交通事故の実態、県民のニーズ等を踏まえ、道路管理者や関係する団体等と連携をとりながら、自転車専用道路等の公道において安全に利用できるかどうか検討し、改正の方向で進めてまいりたい。