長政研レポ−ト vol.26 新涼号

 

<平成19620()6月定例会一般質問>

 この日は、地元高松地区婦人会の皆様が多数駆けつけてくださって、2階席から議場の私を見守ってくださいました。張り切って以下4点にわたって質問いたしました。

1.       泥水噴出問題について

(長坂)412日夜、和歌山市湊の中洲の民家の床下の古井戸から突然大量の泥水が噴出、床が10センチも持ち上がる等の被害が出た。原因は現場から約400メ−トル離れた紀ノ川大橋の国道拡幅のための橋脚3本の新設工事において、土台となる筒状のケ−ソンを川に沈め、圧縮空気を送りながら掘削していたら、この空気圧で空気を含んだ地下水が噴出した。私も413日に民家の井戸から激しい勢いで空気を伴った泥水が噴出している状況を見てびっくりした。そもそもどんな工事であったのか。

(県土整備部長)県では、和歌山下津港の物流機能強化と大型貨物車両の市街地の通行回避のため、臨港道路紀ノ川右岸線工事を施工中で、この工事はこれに伴う国道26号との取り付け部で、紀ノ川大橋の拡幅を行うもので、国土交通省に委託している工事だ。

(長坂)地盤沈下の心配はないか。

(県土整備部長)国交省が泥水噴出箇所周辺での物理探査、ボ−リング調査を行った結果、異常が認められず、地盤沈下など、地盤の安定性への影響はないと聞いている。

(長坂)海水の交わる汽水域での掘削工事だが、農作物に対する塩害が気になるが、海水からくる塩分濃度の地下水への影響はどうか。

(県土整備部長)国交省は事件発生後、塩分濃度調査を継続的に実施しており、これまで大きな変化は見られない。今後も引き続き観測を行うとともに過去の測定結果や地下水の利用状況についても調査すると聞いている。

(長坂)空気を伴った地下水噴出の原因究明の進捗はどうか。工事再開は可能か。

(県土整備部長)国交省が「紀ノ川大橋橋梁拡幅工事周辺における地下水噴出に関する対策検討会」を設けて検討しており、これまで2回の検討会が開催されケ−ソン工事により圧力のかかった空気が周辺地層を伝わり噴出したことが究明された。今後適切な補償が行われるとともに、安全な工事再開ができるよう、国交省に申し入れをするとともに解決に向けて協力していく。

 

2.       直川周辺に関わる諸問題について

(長坂)昨年2月県議会において、議案第102号「紀ノ川大堰建設に関する基本計画の変更について」が可決された。大阪府の水源計画見直しによるもので、コスト削減から、新六ヶ井堰全体を撤去するはずが、固定堰を1メ−トル以上残し、川床も3メ−トル掘削するはずが行わないことにされてしまった。これには寝耳に水の和歌山市議会も猛反発し、その後の県市の話し合いの結果、県と国土交通省は、当初どおりの治水効果が計れるよう、国が内水対策を実施し、県と国とが内水対策を確認、さらに今後古い新六ヶ井堰を国がすべて撤去することの確認書が県・市で締結された。基本計画変更によって河道掘削量が削減されて、水位低下量及び内水被害軽減効果が減少するため、どうしても速やかな内水対策、治水対策が必要だ。和歌山市が市の土地開発公社所有の直川用地利用計画を進めるためにも、直川用地の内水対策、治水対策が必要だ。「紀ノ川大堰に係る内水対策協議会」の進捗状況は。

(県土整備部長)これまで5回の協議会を開催、先月の第5回協議会では、国交省から内水氾濫シミュレ−ションによる浸水域の状況と、内水対策の考え方について説明があった。次回では具体的な内水対策()が示される予定だ。

(長坂)内水対策協議会での話し合い等の確認事項がホゴにされないよう、県として絶えず国へ働きかけていただきたいがどうか。

(県土整備部長)国交省からは、紀ノ川大堰事業の当初計画で見込まれた、直川地区の内水被害軽減効果が確保できるよう、積極的に取り組む旨の回答を得ているので、県としても早期に対策が実施できるよう国交省に強く働きかける。

(長坂)和歌山北インタ−チェンジ設置は当地への企業誘致、物流拠点としても大きな意味がある。平成22年度供用開始を目指しているとのことだが、取り組み状況はいかがか。

(県土整備部長)今年度は、県、市、西日本高速道路株式会社の三者で地元説明を行い、概略設計及び用地測量等に着手する。

 

3.2巡目国体に向けた和歌山市周辺の幹線道路事業について

(長坂)8年後の平成27年に2巡目の和歌山国体開催が内々定だが、ふるさとでの開催は、全国から2万人以上の集客が見込まれる、全国の方々に和歌山県を知ってもらえる、県土整備の上でも大きな期待が持てるものである。2巡目国体開催という明確な目標もできた中、おそらくメイン開催地となる和歌山市周辺の第2阪和国道や京奈和自動車道の全面開通といった国の直轄事業、並びに、西脇山口線、南港山東線、松島本渡線といった街路事業等、幹線道路の整備についての加速度的取組みがなされるよう、国へいっそう積極的に働きかけを。

(県土整備部長)京奈和自動車道については全線の開通を、また今年度から事業着手された第2阪和国道の府県境部についても、早期供用を国に働きかける。また、紀南方面から和歌山市への渋滞を解消するため、近畿自動車道紀勢線の海南吉備の4車線化や国道42号線バイパスの整備についても働きかけていく。

和歌山市内の都市計画道路として、現在整備中の西脇山口線や市駅小倉線、松島元渡線などの重点整備に取り組む。

 

4.       企業誘致と起業支援について

(長坂)近畿地区では工場立地が好調と報道があったが、その特徴は借地法式のウェイトが大きいようだ。それだけ進出企業のコスト負担を少なくしていることが評価されている。電気・ガス・水道とのインフラが整っているとか、優遇制度による立地コストの低下だけでなく、企業は用地の確保のしやすさ、操業開始までのスピ−ドも重視している。他府県でこうしたハ−ド面で捨て身の工場誘致をされると和歌山県も非常に厳しい。ソフト面から言うと、大阪府の彩都ライフサイエンスパ−クの取り組みのように、企業誘致にはテ−マを設けて、専門知識を持ったアドバイザ−らによる誘致戦略が必要だ。大学の研究者、あるいは企業との調整等実務を担うコ−ディネ−タ−ができるような、たとえば和歌山県ではアグリバイオ等和歌山県の持ちうる恵まれた農水産物資源を活かせる食品加工会社、製薬会社等のOB等民間の実務経験を活かせるような人材の投入が欠かせないのではないか。企業誘致におけるハ−ド面の充実とともにソフト面の対策強化について知事の見解は。

(知事)和歌山県に対するイメ−ジの向上を図る、あるいは和歌山県の実情をオピニオンリ−ダ−の方に、あるいは実際に企業活動をしている方に、よく分かってもらうことが大事だと思っている。また和歌山県を愛してくださっている県出身者の方々のアイデアを引っ張ってくることも大事である。現に和歌山県で活躍しておられる企業と経済問題あるいは営業に伴ういろいろな問題を議論して、実情を把握することも大事である。商工観光労働部の職員に、それぞれ担当を決めて、企業の人と堂々と付き合って、情報収集したり意見交換をしたりするということをはじめている。そのほか、平成17年度より企業誘致サ−チャ−制度を企業の地域進出情報の収集力とか情報の伝播力とかを高めるためにやっている。また、県内求職希望者を登録して、企業の人材確保を支援する「きのくに人材バンク」ということもやっている。その他、マスコミあるいは経済雑誌、展示会等に和歌山の情報を私も含めて露出して、和歌山県もがんばっているという姿勢をできるだけ表に出していきたい。

(長坂)せっかくの技術、時代の二−ズにあったアイデアを持ちながらも、資金不足のため起業できない方のために、その技術に裏付けられた製品をまずは試作品として世に出すために、そのアイデア・シ−ズの段階からソフト・ハ−ド両面でサポ−トできる体制、制度の構築についておうかがいする。

(商工観光労働部長)新たな技術やアイデアを有し、起業を考えている方については、()わかやま産業振興財団や工業技術センタ−等において、民間人材等による経営面、あるいは技術面のきめ細かい相談指導を行っている。「創業段階」においては、ビジネスインキュべ−タ−施設を経済センタ−等に設置して、昨年より企業支援の専門家を配置し、経営面や資金面などへ総合的な支援を行っている。今後とも、新たな事業や企業活動を積極的に掘り起こし、育てることで、県経済の活性化をさらに目指して参りたい。

(長坂)国交省が大滝ダムの地すべり対策追加工事のために、県に対し約178千万円の追加負担を求めてきたが、その分直川用地の治水対策は国にしっかりやってもらわないといけないし、それが直川用地の利用計画、和歌山北インタ−設置にも大きな影響を及ぼす。8年後の和歌山国体開催のことを考えれば、どうしてもそれまでに第2阪和国道や京奈和自動車道の完成、都市計画道路の西脇山口線、南港山東線、松島本渡線等、市の事業区間も県としてフォロ−しながら、全国から2万人以上の方が和歌山県へお越しになるときには十分供用されているよう、条件闘争のつもりで強力に国に要望してほしい。(要望)

 

<平成19625() 県議会経済警察委員会にて>

(長坂)朝夕の渋滞時の信号のない交差点内に車両が停止し側道から出られない等により、さらに渋滞を増大させている。マナ−啓発もさることながら、団地や集落に入るところの交差点に、「とまるな」「斜線」や「交差点マ−ク」を表示し、車が出入りできる間隔を確保するよう、道路上の表示や標識をもっと設置していただきたいがどうか。

(県警本部)交通渋滞により、交差点内に車が停車し、側道から出にくいような場所については、一般的には道路管理者が交差点マ−クなどを道路に表示を行い、ドライバ−に対して交差点であることをわかりやすくしている。「とまるな」等の停止禁止規制については、消防署や警察署など緊急性や公共性のある場所や特に交通の安全と円滑に著しい障害がある場所に限定して公安委員会が設置している。必要な場所については、道路管理者へ申し入れを行っていくほか、警察においても設置場所について検討していく。

(長坂)国の中小企業地域資源活用プログラムについて、国の狙い及び認定申請に向けたスケジュールは。

(商工観光労働部)地域資源活用プログラムとは、本年4月に経済産業省等6省が連携のもと創設されたもので、大都市と地方の経済格差の拡大が懸念される中、地方が持続的な成長を実現するために、地域の強みとなる3類型(産地の技術、農林水産物、観光資源)を県が基本構想で指定して、国の認定を受ける。中小企業者がこれら地域資源を活用して行う、新たな商品開発等の掘り起こしや事業家への取り組みを支援して地域経済の活性化を支援する取り組みである。対象は中小企業、商工会、事業協同組合、漁協、森林組合等で、想定される地域資源は繊維や家具、梅、みかん、紀州材、鰹、シラス、温泉、世界遺産などが想定される。支援策は中小企業の事業計画に基づいて、試作品の開発や展示会の出展、マ−ケティングに係る専門家による事業計画の作成や販路開拓までのハンズオン支援、金融・税制支援、中小機構や金融機関で構成する地域中小企業応援ファンドの運用益による助成などが用意されている。8月に県による基本構想が国により認定され、9月に中小企業者の事業計画の認定が予定されている。 今後本プログラムを活用して、本県経済の活性化を図って参りたい。