長政研レポ−ト vol.24号 紅葉号
<平成18年6月22日(木) 6月定例会一般質問>
1.
和歌山下津港について
(長坂)昨年まで週3回で続いていた韓国との定期船が、今年になって週2回の配船になっているが、韓国航路の現況と見通しは。
(県土整備部長)同航路の貨物の取り扱い数量は、平成7年の航路開設以来順調に増加しており、昨年は過去最高となった。本年1月に船社による寄港地の見直しで週3回から2回に変更されたが、本年もコンテナ取扱量は微増している。
(長坂)中国から日本へ輸入されている川砂も禁輸の動きがあると聞く。和歌山県の光学機械、繊維機械に関わる和歌山下津港からの輸出状況、それに海南海草地方の日用品雑貨の原料輸入等期待される荷動きについてはどうか。
(県土整備部長)中国からの輸出砂については、昨年和歌山下津港の公共岸壁において72万7千トンが取り扱われ、輸入貨物の中で69%と大きなウェイトを占めている。現在のところこれまでどおり和歌山下津港に輸入されている。ほかの輸出入だが、コンテナ貨物として一部は和歌山下津港で取り扱われているが、大半は航路数や便数の関係で、主として大阪港、神戸港を利用して輸出入されている。
(長坂)和歌山港のガントリ−クレ−ンは他港に比べて使用料が高いと聞く。使用されていない時間帯にバラ貨物の荷役に充てるとか有効な利活用をして料金収受に努めてはどうか。また、保税上屋をはじめ、各種港湾施設利用料金設定を見直して競争力をつけてはどうか。
(県土整備部長)ガントリ−クレ−ンのコンテナ以外の貨物の荷役利用は、利用者からの要請があれば、施設有効利用の観点から技術的に可能かどうかを検討するとともに、コンテナ貨物との荷役の調整を図っていきたい。また港湾施設の使用料金の改定については、県営港湾施設管理特別会計の健全化計画を踏まえ、収支見通しや周辺他港の料金等を参考に検討する。
2.
被覆ブロック、消波ブロックによる磯焼け対策、藻場の育成について
(長坂)磯の藻が枯れる現象である「磯焼け」対策として、藻が生える被覆ブロックを田辺湾の天神崎手前の漁港へ民間会社が試験的に投入したという記事を見た。
磯焼けの要因については、アイゴ、ブダイやイズスミ等の藻食性魚類やうに等が海藻類を食い荒らすといった食害生物の影響が大きいようだ。藻場の育成により、幼稚魚の成育、産卵場、飼料供給といった機能だけでなく、水中の有機物の分解、窒素やリンを吸収して水質を浄化するという効果もある。高知県室戸市の菜生海岸は平成16年の台風23号によって海岸堤防が約30メ−トル倒壊し、家屋13個が被災、3人が亡くなるという惨事に見舞われたが、災害対策として藻場育成を兼ねて溝付きの消波ブロックを採用した。護岸とともに藻場を再生していく、これが埋め立て等により消失した藻場・干潟の回復をめざした今後の海岸の自然再生事業として、特色ある沿岸漁業育成のために、県において民間会社や漁協の協力をもらって、ぜひ実証実験に積極的に取り組んでみて、付加価値をつけて、磯焼けからの再生、藻場の育成を推進いただきたい。海の生態系観察実験としても非常に興味深いし、ひいては全県的に各漁港で地魚、特産海産物の商品開発につなげていってもらいたい。県の取り組み現況は。
(県土整備部長)今年度より「海の森づくりプロジェクトパイロット事業」として、防波堤等の整備を行う際に海藻の育成しやすいブロック等を設置し、その育成状況を3年間追跡調査することにより、藻場育成技術の検証を行うこととしている。現在、県水産部局、水産試験場と連携しながら、産学官で構成する協議会の設置に向け、関係者で調整を進めている。
3.
自転車道路について
(長坂)排気ガスを出さず、大気汚染にもつながらない自転車は、環境にやさしい交通手段として、今再び注目されている。政府も「地球温暖化対策推進大綱」の中に、安全かつ適正な自転車利用の促進を位置づけている。来年11月には和歌山市において42年ぶりに全国サイクリング大会を行う計画もある。和歌山県は起点あるいは終点として、太平洋岸自転車道を提唱した県でもあり、整備に当たっては大変重要な役割を担っている。和歌山県の大規模自転車道の整備状況は。
(県土整備部長)大規模自転車道については昭和49年から62年の間に一般県道白浜日置川自転車道線の整備を行った。太地新宮自転車道線については平成元年から整備に着手したが、用地取得の難航で、一時休止となっている。
(長坂)自動車、歩行者、自転車3者が安全、快適に利用できるよう、県道における自動車道、歩道、自転車道のバランスに配慮した整備についてはどうか。
(県土整備部長)自動車交通量の多い箇所では、まず自転車・歩行者から自動車を分離すべきだ。限られた道路空間の中では両者が同一の空間を利用する自転車歩行車道が現実的な対応と考えている。今後も利用者の安全確保のため、3者の交通量、沿道の利用状況を総合的に考慮し、自転車歩行者道等の整備を進めていく。
4.
性教育について
(長坂)我が国では近年、中高校生の性体験者が急増し、それに伴って性感染症の蔓延、そして10代少女の妊娠中絶も急増している。米国では1960年代末から性解放の運動が進み、フリ−セックスの風潮が広がった。十代少女の妊娠が増加、中高校の中退者の増加と性感染症の蔓延、離婚の増加や未婚の母親の増加といった社会問題が発生した。そして青少年犯罪が急増する中、エイズが増加していった。当初は安易にコンド−ムを配布使用すればセックスは自由という風潮であった。1990年代半ばより性交教育、性の快楽性のみを強調するより、性の精神面−愛、思いやり、エイズ患者との共存−等を重視した性教育の傾向が出てきて、エイズをはじめとする性感染症が欧米で減少し始めた。米国のエイズ予防教育に見る節制教育では、自己制御できる理性と知性、そして弱者と共存できる人間を求めている。一方我が国では先進国の中で、唯一エイズ感染者が増加しており、今はインタ−ネット社会、子供のころから容易に性情報を入手できる時代、以前のアメリカ以上に深刻な事態をもたらす危機的な状況ではないかと思われる。米国では自己抑制プログラムの実施によって、5年間で少女の妊娠率が45%から5%に下がり、大きな予算を投入して全米の高校の3分の1以上で実施されるようになった。和歌山県における小中学校での性教育の実態について、県教育委員会はどのように把握しているか。
(教育長)昨年度実施した「学校における性教育の実態調査」の結果、本県の小中学校ともに「特別に問題のある事例はなかった」という報告を受けている。県教育委員会職員が随時学校訪問して、保健の授業を参観する中でも、適切な指導がなされていたと認識している。昨年「性に関する意識調査」も実施しており、この調査結果をもとに、現在「性教育の手引書」の改訂版を作成している。今後、児童生徒の発達段階に即した適切な意思決定や、行動選択が出来る力を身につけさせる教育を行っていく。
(長坂)異性をともに尊敬しあう、人間を尊重し、性のモラルを守り合う、そんな性教育の場が、教師が必要である。エイズ、性感染症の予防教育、そして自己抑制教育について教育長の意見は。
(教育長)エイズ・性感染症の予防教育はもちろんのこと、「心の教育」にいっそう重点を置き、自分を大切にし、他人を思いやる心、子供を産み育てることの意義や素晴らしさなどについて教育するよう指導していきたい。
<平成18年6月26日(月) 経済警察委員会にて>
(長坂)各地域住民による子どもの見守り活動の具体的な効果はどうか。
(警察本部)まず、本県では登下校中の子供の被害に係る凶悪事件が発生していない。その他、自主防犯意識の高まりの中で、街頭での犯罪が、ここ数年着実に減少し、本年5月末現在でもその減少傾向が持続していること、声かけ事案が倍増しているが、その内容から見て、子供の安全に対する関心が高まってきていることなどが挙げられる。
(長坂)高野・熊野世界遺産への誘客活動、機能強化を図るものとしての戦略的首都圏対策事業について、具体的な取り組みは。
(商工労働部)戦略的首都圏対策については、今年4月にわかやま喜集舘を拡張するとともに、職員を増員し、本県への誘客活動に着手した。今後企画提案型首都圏情報戦略として、テレビの旅番組や旅行雑誌等を選定し、和歌山への旅番組の放映や記事の掲載の企画提案を行い効果的な情報発信を行いたい。そして、東武・西武・小田急・三越・伊勢丹等の私鉄や百貨店の旅行事業部に和歌山への旅行の企画提案を行う。今年度から本格的に生涯学習センタ−やカルチャ−センタ−へ語り部等を派遣し、高野・熊野等の本県の魅力をアピ−ルするとともに、講座の一環として現地研修を提案するなど誘客活動に努める。その他修学旅行誘致・フィルムコミッション・コンベンション活動等についても積極的に取り組む。