(県土整備部長)国の災害査定を受け、護岸の前面に消波ブロックを新設又は補充することによって、災害の防止を図る。片男波海岸等の砂浜の復旧については、国の方はダメ、県財政も厳しいことから、地元自治会やボランティアのご協力をいただきながら、地元と県が一体となって里浜づくりの一環として、砂浜の復旧に努める。漁港については、本年の度重なる台風により、防波堤の転倒や物揚場の損傷など多くの被害を受け、県管理では和歌浦漁港等5件、市町管理では雑賀崎漁港等54件、総額51億円相当の被害が生じている。12月から1月中旬にかけて災害査定を受けて、直ちに復旧に努める。さらに、今後関係市町と連携をとって、設計に用いる波の高さ、いわゆる設計波高の検証を行っていく。
2.高齢者・障害者の大災害時の避難体制・防災マニュアルについて
(長坂)各地における集中豪雨災害から台風災害、あるいは大規模地震災害に至るまで、犠牲者のうち65歳以上の高齢者あるいは足の不自由な方々が過半数を超えているといわれる。特に、災害弱者の避難・救助体制を整備して、犠牲を少なくする施策の積極的推進が急がれる。自力避難の困難な災害弱者に関しては、事前に避難の援助を行う者を決めておくような支援体制の整備、高齢者や障害者の方を避難いただく訓練、あるいは日頃から目にとまりやすい避難地への誘導標識の整備等も必要である。もちろん日頃からの地域における住民の自助、共助の意識も必要だが、パニック状況の中、特に高齢者、障害者の方々の安全でかつすみやかな避難体制、防災マニュアルについてはどうなっているか。
(危機管理監)平成12年に「和歌山県障害者・高齢者・難病患者防災マニュアル」を策定し、市町村を始め、消防や各種関係団体等に送付するとともに様々な機会をとらえて、広報・啓発に努めている。国においても、本年の台風等による風水害の発生を受けて、災害時要援護者に対する「避難支援についてのガイドライン」の作成を検討されていると聞く。県としてはこのガイドラインをもとに、地域ぐるみで災害時要援護者等を避難させる計画の作成等を市町村に働きかけるとともに、地域住民の協力を得て、支援体制を充実してまいりたい。
2. イノシシ等による被害について
(長坂)今年も春先からイノシシによるたけのこ被害の話がありましたが、相次ぐ台風の襲来で環境の変化、山中のえさ不足、あるいは頭数の増加からか、秋の実りを迎えた10月初めになって各地からイノシシによる田畑の被害、みかん、稲、いも等の農産物が踏み荒らされたり、食い荒らされたりの苦情が相次いだ。 本来生息などしていなかったはずの名草山のふもと、和歌山市内原・広原・吉原地区においても3〜4年前よりイノシシが出没して被害が拡がっている。和歌山市和佐地区においても稲刈り直前に田んぼに入られて大きな被害をこうむったり、甘くなりかけて収穫を間近に控えたミカンの場合は木についた実が全部食われたり、野菜畑を踏み荒らされたり、農家の皆さんの懸命の防護努力にもかかわらず、自助努力が報われていない。ここは山岳地帯も狭く、紀伊風土記の丘も近くにあって鳥獣保護区域にあり、原則的に鉄砲を撃つわけにもいかない。有害捕獲のためのオリ(ワナ)を設置してもらえるよう、被害届けを出しているもののなかなか実現に至っていない。
色々防護策を講じても効果なく、丹精込めて作った作物も収穫前に食い荒らされたりするので今年は耕作意欲が失われて休耕畑にしたところも見られる。
このままでは山のふもとの農地が荒廃してしまい、農業経営は立ち行かず、まさに生業とされている農業を放棄せざるを得ない状況である。今年のようなとりわけ暑い夏、それに相次ぐ台風の襲来といったまさに非常事態の年には県としても市町村に任せきりには出来ない状況である。国とも協議して、被害地域において有害捕獲の促進を図るとか、狩猟期間を延長するとか、ハンタ−養成を行うとか、具体的対応を急いでほしい。
(環境生活部長)イノシシの捕獲には狩猟によるものと有害によるものとがある。本県の場合、有害捕獲の割合が他府県に比べて低い。有害捕獲は時期を問わず、被害のある場所でタイムリ−に実施できるという面があるので、これを推し進めることが大変重要かつ有効と考える。手法としてはオリによる捕獲がもっとも有効であり、今後有害捕獲を市町村・関係機関と連携を図って積極的に推進していく。有害捕獲頭数については、今日、農作物被害が増大する現状に鑑み、基準緩和に向け早急に取り組む。議員指摘の狩猟期間の延長についても被害対策の一つと考える。有害捕獲等の対策の成果を見つつ、引き続き導入の検討を行う。ハンタ−の養成だが、本年度から資格取得の機会を広げるため、狩猟免許試験の回数を増やすとともに、一部で日曜日にも実施できることとしている。
(長坂)アライグマについてもイノシシに迫る勢いで増繁殖を続け、県内各地で農作物被害が拡がっている。アニメの「あらいぐまラスカル」でペットブ−ムに火がついたわけだが、所詮野生のクマであって、ペットとして飼育に耐え切れず放してしまう方が少なくなく、繁殖も盛んで順応性も高く、日本でも野生化している。アライグマの影響は、キツネやタヌキ、イタチ類等との在来種との競合や野鳥への被害等生態系全体へ広がっている。オリでの捕獲を実施中で、移入種で天敵がいないので見つけ次第捕まえて有害鳥獣として根絶するように指導されているとのことだが、現在の捕獲状況と県としての対応は。
(環境生活部長)平成16年度の11月末現在の有害による捕獲数は475頭であり、平成15年度の297頭と比べて大幅に増加しており、早期の対策が不可欠と考える。捕獲頭数の制限をなくすとともに、有害捕獲従事者要件の緩和及びオリ購入補助等いち早く取り組んだところだ。
(長坂)飼育する人たちに対し、今まで以上の厳格なル−ルづけ、万一飼育場所から放してしまった際の行政処分をきちっとしてほしい。ペット業者に対する監督・指導もどうか。
(環境生活部長)動物の愛護及び管理に関する法律で所有者等の適正飼養の責務とともに、愛護動物を遺棄した場合の罰則規定も設けられている。動物販売業者に対しては、定期的に施設の立入検査を実施し、購入者に動物の適正飼養を十分説明し、理解を得るよう指導していく。
(平成16年12月14日 県議会経済警察委員会において)
(長坂)和歌山県におけるワークシェアリングの進捗状況と、パ−トタイマ−の社会保険への加入状況は。
(商工労働部)今年度県が実施した「労働条件実態調査」の中で、「ワ−クシェアリング」について調査したところ回答企業997社のうち、すでに実施している企業が4.8%、導入の予定なしが76.9%であった。パ−トタイマ−の社会保険への加入状況については、県の調査で、パ−トタイマ−に社会保険を加入している企業が463社で、回答企業996社のうち46.5%という結果だ。
(長坂)若年者雇用について、フリ−タ−はまだしも働いているが、ニ−トという、働くこと自体に希望を失ったり、就職活動に踏み出せないような若者が平成15年度に全国で52万人、今年度は60万人にも及んでいると聞くが、和歌山県における若年者雇用の実態と、ニ−トといわれる若者を県としてどのように雇用に至らしめるか問う。
(商工労働部)県として近く若者を対象とした調査を実施し、若者から行政に求めるもの等を把握して今後の支援策等を検討していきたい。ニ−トについては、引きこもるタイプも少なくないことから、いきなり「働く」のではなく、社会的活動などで汗を流すことを体験してもらうことも考えている。今後、関係機関と連携をとって取り組む。
(長坂)これから団塊の世代が定年を迎えるということで、定年延長や正社員の雇用継続の問題が必ず出てくる中で、若者の雇用状況がますます厳しくなると思うので、特に教育委員会と連携をとって、和歌山の将来に必要となってくるこれからの世代の人材を大きく育て、雇用していけるような環境づくりに取り組んでもらいたい。
(長坂)子どもの連れ去り事案が続発しているが、その前触れ事案としての声かけ事案に対して警察としてどのように把握しているか.また、PTA等との連携や情報伝達はどうか。
(県警本部)声かけ事案については、本年11月現在で61件を把握している。把握に際しては、教育委員会、少年補導センタ−等と連携を密にして、声かけ事案や不審者情報の把握に努めている。また、把握した声かけ事案等については、交番速報や生活安全ニュ−ス等を通じて、都度、タイムリ−に学校や教育委員会、地域安全推進員等に情報提供を行って注意喚起に努めている。
(長坂)声かけ事案発生マップ等をつくって定期的に広報をしてほしい。
(県警本部)近く声かけ発生マップを出すようにしていきたい。
(長坂)年末は交通事故が非常に多いので、交通事故の起こりやすい場所、例えば、国道42号線やけやき大通り等の危ない交差点に警察官を出してドライバ−に注意喚起や交通指導を行うよう要望する。