(長坂)厳しい経済状況、そして財政状況の中で和歌山市が中核市であるとはいえ、県都和歌山市のことを和歌山県、市で一体となってさまざまな懸案事項を解決に向けて検討していくことはコスト削減にもつながって効率的な行政を推進していく上でも、また役割分担の明確化にもつながり非常に意義深いと考える。旧丸正の利用、商店街の再生等、中心市街地の活性化施策、遊休地、未利用地の利活用について、あるいは一般、産業廃棄物処理とリサイクルの問題、また加太の土取り跡地の利用問題、都市計画道路の整備、和歌浦・雑賀崎等観光地の活性化策、あるいは各地の交通安全、防犯対策等懸案事項は目白押しである。こんなとき、この連絡会議の中で県市お互い信頼関係で持って前向きな建設的な議論を漸次展開していただきたいが、県としてどう考えているか。
(副知事答弁)去る5月8日に第1回の会合を開催した。県と和歌山市の政策課題は、同時に県政にとっても重要な課題であるという認識のもと、何よりも結果を出すことが重要であるという相互の認識で一致したところだ。これまで個々の部局間だけの会議では解決できなかった課題や部局間にまたがる課題を中心として取り上げ、各部局の垣根を越えた、総合的な観点からの解決を目指すもので、今後とも必要に応じて開催していきたい。
2.科学技術の振興による地域産業の発展について
(長坂)このたび、平成15年度の地域科学技術振興事業の中で、地域の科学技術資源を活用して産業の活性化を図るため、文部科学省が所管する公募型産学官共同研究事業である「都市エリア産学官連携促進事業」の採択を受けたとのこと、まことに喜ばしいことである。県工業技術センターを中心に、和歌山大学システム工学部等の大学と市内の有機化学企業の高度な技術を結集して、ナノテクノロジ−を駆使した次世代エレクトロニクス・デバイス用有機材料の開発推進を行うものである。和歌山県の基幹産業のひとつ化学工業界がさらに発展することが期待されるし、他の産業にもよい波及効果をもたらしてくれることを願う。今後ますます地域の企業や大学、公設試験研究機関が有する研究開発に関する資源やポテンシャルを生かした科学技術を振興することにより、地域経済の活性化を図るという、科学技術駆動型地域経済の発展を目指したさまざまな取り組みを行っていただいて、和歌山県の経済活性化、そして雇用の創出に寄与してもらえるよう事業の進展を願う。今後の取り組みは。
(知事答弁)和歌山県に勢いをつけるためには、地場産業の振興、今あるものを大事にしていくことが大事である。一昨年来、ありとあらゆる国等の研究費などを和歌山県に導入できないかということを鋭意努力してきた。この都市エリア産学官連携促進事業は、近畿では大阪、兵庫についで3番目であり、3年間で、約3億円の研究費が交付されるということで、大いに期待している。今後も積極的に外部の研究費等を導入しながら和歌山県を外に向かって発展していくようがんばっていきたい。
3.海洋レジャ−プロモ−ション事業について
(長坂)本年7月18日から21日までの4日間に、海洋レジャ−プロモ−ション事業としてアメリカズカップの3連覇を成し遂げた世界ヨットレ−ス界の覇者ラッセル・クーツ氏を招聘して開催する「ラッセル・クーツと紀州の海」というイベントが実施されるとうかがっている。海洋県和歌山の海に親しむ大きなイベントである。和歌浦湾から眺めた和歌浦・雑賀崎、あるいは冷水浦、戸坂、荒崎方面の海岸美を再発見し、将来的に和歌浦湾における周遊観光、クル−ジング体験観光の端緒にもなるイベントではないかと考えるが、一過性のイベントにならないように、もっともっと県内のみならず、県外へもイベントをアピ−ルして気運を盛り上げてはどうか。今回のプロモ−ション状況、今後の県の海洋レジャ−プロモーションについての取り組みは。
(企画部長)オリンピック金メダリストのウクライナチ−ム等世界の有力選手を迎えて、和歌浦をはじめ本県の魅力を国内外の方々に感じてもらい、世界に情報発信を行っていく。次年度以降についても、本県の大きな資源である海の魅力を、工夫を凝らしながら、継続して情報発信してまいりたい。
4.和歌山県のスポ−ツ振興について
(長坂)和歌山市中之島の県体力開発センタ−は、体育・スポ−ツの振興を図り、県民の健康と体力づくりに寄与することを目的として昭和50年に開館以来、多くの県民に愛されかつ親しまれてきた。体操、水泳関係のスポ−ツ教室の実施、トレ−ニングル−ムやプール等の一般開放、それにサウナ・喫茶の併設ということで着実に年間11万人もの利用者を数えてきた。県内唯一の県立の室内かつ温水プ−ルを利用したウオ−キング等昨今人気が高く、会員制が多い民間施設と違って障害者、高齢者の方々にも多く利用されている。利用料金も安価で、健康講座も年4,5回開催されるなど各種プログラムの充実にも努めている。しかし、本年3月「行政組織等の見直し実施プログラム」において体力開発センタ−(施設)の廃止に向け平成16年度より検討を実施するとしている。老人医療費が拡大する中、スポ−ツに親しむ元気な高齢者が増えている地域は逆に医療費が減少する傾向にあるといわれている。今後高齢者等の健康増進をもっと図る意味でも、生涯スポ−ツという切り口で体力開発センタ−をもっと利活用すべきである。廃止よりさらなる存続、充実を図るべきであると思うがどうか。
(教育長)生涯スポ−ツ振興の観点から、国の委託を受けて、総合型地域スポ−ツクラブを育成・支援する拠点としての「広域スポ−ツセンタ−事業」も実施している。今後、最終的な結論に向けての検討と併行して、現行事業の充実とともに、高齢者等の健康維持のため、医療機関等と連携しながら、「有酸素運動」、「筋力運動」等を取り入れたプログラムの開発、実施、普及に努めてまいりたい。
≪文教委員会≫
5.性教育について
(長坂)新聞によると、アメリカでは60年代の行き過ぎから、学校教育において、性道徳を重視し、自己抑制を説く「節制教育」が広まってきている。日本では当初「純潔教育」の名で進められてきたが、昭和50年代後半から「性教育」の用語が一般化した。 最近では、ある市教委が小中学校教員向け手引書に「ふれあいの性」「快楽の性」を明記し、「コンド−ム教育」も全国に広がっている。ある高校では先生用指導資料に「愛がなければ性交してはいけないという考え方を押し付けてはならない」とフリ−セックスの勧めを記し、自己決定能力が十分でない小中学校生にまで「性の自己決定権」を教えているそうである。最近の警察庁の調査で中高生の67.7パーセントが「同年代の女子が見知らぬ人とセックスをすること」を容認し、「セックスで小遣いをもらうこと」を44.8パ−セントが本人の自由と答えている。いまや性の情報はコンビニで容易に手に入るし、インタ−ネットで誰でも性の世界へアクセスできる。こういう状態ではアメリカよりも今の日本こそが憂慮すべき状態にあるのではないか。当たり前の人間教育、性道徳を重視した教育を徹底してほしい。自分の体を大事にするとともに、男も女もそれぞれを尊重しあう姿勢が重要である。和歌山県の性教育の現状、理念はどうか。
(県教委)児童生徒等は、それぞれの成長過程において、性に関する多くの課題に直面している。近年わが国においては、性情報の氾濫、援助交際、性感染症等、特に若者にかかわる性の逸脱行動などが指摘されており、学校における性教育の重要性が強調されている。学習指導要領に基づき、小3から、体育・保健体育あるいは道徳や特別活動等を通して、個人差や地域差等に配慮し、発達段階に応じて性教育を実施することになっている。性教育については、人格の完成と豊かな人間形成を究極の目的とし、科学的知識を与えるとともに、生活尊重、人間尊重、男女平等の精神に基づく正しい異性観を持つことによって、自ら考え、判断し、意志決定能力を身につけ、望ましい行動を取れる人間を育成するという形になっている。今後ともその目的達成のために、学校・家庭・地域の実態に応じて性教育を積極的に、体系的に展開するよう努力する。