一、 和歌山県の医療について
a、災害医療について
(長坂)近い将来の南海、東南海地震が大きく取り沙汰される中、地震だけでなく、テロ災害、化学物質による災害等に際して、いかにしてできるだけ多くの人を救命し、速やかに適切な治療を行うかが災害医療の課題である。医大病院、日赤医療センタ−といった基幹病院をはじめとする8つの災害拠点病院に通信、連絡網を整備して、各消防局ともタイアップして県が音頭をとって、防災訓練から一歩踏み込んで、災害医療のための訓練を毎年行う必要があるのではないか。また、将来的に災害医療のための訓練を一般市民にも公開、さらに訓練参加を呼びかけるべきだと思うがどうか。
(福祉保健部長)大規模災害等により、多数の死傷者が発生し医療機関自体も被害を受け混乱が起きるような場合、初動期の救急医療の役割が大変重要である。平成14年度からは、医大、日赤の総合災害医療センタ−の協力をいただき、県内の災害医療従事者を対象とした災害医療訓練を毎年実施することとしている。本年度は医大において、地震を想定したトリア―ジ、情報伝達等の総合的な災害医療訓練を予定している。災害医療訓練の県民への公開、参加については非常に重要なことと認識しており、「災害医療対策会議」で検討を行うとともに関係機関とも協議をしてまいりたい。
b.精神医療について
(長坂)去る7月17日和歌山市内の精神科病院にて看護助手の入院中の患者に対する傷害致死事件が起こった。被害者の家族のことを考えると同情を禁じえないが、精神医療の問題点が浮き彫りにされた象徴的な事件ではなかろうか。看護スタッフの厳しい労働環境の中、再発を防止するためには、病院だけの問題には到底できない。県の事件再発防止策をお尋ねする。
(福祉保健部長)県としては、「管理体制や看護体制のあり方」や施設の状況等の見直しや、改善等を指導していく。また、精神科病院に対する一般の理解を深めるとともに、精神障害者等に対する偏見や差別を排除し人権擁護の向上をはかってまいりたい。
(長坂)平成14年度より24時間365日かかれる精神科救急医療施設を和歌山市を中心とした紀北ブロックに精神科病院の輪番制を整備いただいたが、公的病院として医大病院の参加についてどう考えているのか。
(福祉保健部長)平成13年度から医大病院と協議を続けている。現在病院では「合併症をもつ精神疾患患者」を夜間診察等実施している等の事情があり、参加していないが、早期参加にむけ働きかけてまいりたい。
二、 .和歌山下津港について
(長坂)かつてのように港が船を選ぶ時代は終わり、基幹航路に就航する大船社があたかも「商品」のように国際港湾を選ぶ時代になっている。
現況の厳しい財政状況を考えると、当面は既存の港湾施設ストックの有効利用を十分検討した上で、適切に維持、修繕等をしていくことが必要である。臨海部ではかつての工場跡地や売れ残った企業団地等の大規模な低未利用地も発生しており、そんなところにリサイクル施設のような拠点整備も考えてよいのではないか。遊休化したバ−スは近年問題になっている不法係留されたヨットの保管場所としての活用をはかってはどうか。和歌山下津港は動植物検疫にも対応でき、保冷のためのリ−ファ―コンセントも整備されている。県当局の対中国航路開設のための積極的ポ−トセ−ルスを引き続きお願いしたい。和歌山にも中国とのトラフィックは相当数ある。中国の巨大な市場の存在を天与に資源として新しい産業の育成を目指し、これに和歌山下津港の港湾戦略をぜひからませたい。当港の現有施設を十分に活用するためにも生き残りをかけて福山港のように、食品輸入基地としてチルド配送システムを伴う海陸一貫輸送システムを構築してはどうか。和歌山下津港の将来像について知事の所見を問う。
(知事)和歌山下津港のソフト面についてこれから充分改善を加え、中国との航路についても、和歌山県も一生懸命、上海、香港、青島等、どんどんポ−トセ―ルスを進めていきたいと思っている。せっかく国土交通省になって、港湾と道路が同じ役所でやるようになっているのだから、ト−タルの交通システムについても真剣に考えていくべきであるし、できることについては、着実に進めていく姿勢が大事である。和歌山下津港の活性化が、和歌山県の活性化にもつながってくるという視点を持っているので頑張っていきたい。
(長坂)和歌山下津港には食品の輸出入に適した施設設備もある。いまや食品、製品等の消費財の輸入が主体となる時代である。ポ−トセ―ルス上も特色ある和歌山下津港としての売り方をしてはどうか。また西浜地区コンテナヤ−ド、野積場の東側に企業局の造成した倉庫、事務所用地、そして製造業用地がある。海運利用に便利で、産業廃棄物あるいは一般廃棄物の再利用ができるリサイクル産業等資源循環の実現をはじめとする環境と調和した産業の展開にも活用できるのではないか。
(土木部長)当港では既存の港湾施設の有効利用を図るとともに利用促進につながる荷役施設の増強に努めている。週3便就航している韓国航路では、輸入を中心として、コンテナ貨物が順調に増加しており、中国からの輸入砂も大幅に増加し、利用者からは施設の能力増強を求める声がある。
今後とも、中国など近隣諸国からの輸入貨物が増大すると見込まれることから、食品輸入も視野に入れて「総合輸入物流基地」を目指すべく、引き続きポ−トセ−ルスを精力的に行っていく。
(企業局長)近年の厳しい経済情勢を反映し、用地の売却は芳しくない状況の中、売却価格の見直しや事業用定期借地権制度の導入を行い売却促進に努力している。今後も、土地利用を促進するために、提言のあった環境と調和したリサイクル産業等、資源循環型社会の形成に資するための企業用地として活用できないか検討してまいりたい。
(長坂)関西電力LNG発電所計画の現況は。
(企画部長)平成12年7月に仮設備工事に着手し、平成13年12月5日より平成16年5月25日まで地盤改良工事(載荷盛土1期)に着手し、基礎地盤の地震時の液状防止及び沈下防止対策のため約45万m3の土砂を搬入する予定である。関電が考えている今後のスケジュ−ルは本体の着工は19年度以降、運転開始時期は24年度以降となっている。
三、 .産学官連携による新産業づくりと企業誘致について
(長坂)平成14年度の県の重点施策に地域科学技術振興事業として、ライフサイエス分野での産学官共同研究である地域結集型共同研究事業の採択に向けての取り組みがうたわれている。和歌山県のもつ海洋、森林、農業といった地域資源を生かし て、衛生公害研究センタ−、工業技術センタ−、農林水産総合技術センタ−といった県立試験研究機関が、近畿大学の生物理工学部、水産研究所のバイオ技術やクロ―ン技術を核に産学官共同でライフサイエンス分野の研究に取り組むということだが、事業採択に向けての進捗状況は。
(企画部長)「地域結集型共同研究事業」については、本県の有する資源を活用した 、食糧と環境のバイオをテ−マとした研究内容の基本計画を現在申請中である。4月25日に応募して以来、現在まで、基本計画についての事務局ヒアリング、外 部専門家による外部評価などの段階を経てきている。今後、評価委員会による最 終ヒアリングが行われ、10月中に採択が決定される予定である。
(長坂)企業としての参加状況は。
(企画部長)現在築野食品工業梶A(財)雑賀技術研究所など13団体が参加している
(長坂)コスモパ―ク加太へ去る7月30日知事よりアジア最大の「食と緑の工場特区」としてハイテクを駆使した「安全かつ安心できる食材」の大量供給を可能とする産業の立地を目指す方向が示され、カゴメ鰍フ、生食用トマトをコ―ゼネレ―ション利用のハイテク温室で養液栽培という研究に、県、市、県土地開発公社そしてカゴメ鰍ェメンバ―として研究会を発足された。カゴメが先便をつけてコスモパ―ク加太の広大な土地に民間活力の様々なハイテク菜園が広がっていくことがバイオマスの活用、ゴミゼロ、廃棄物ゼロのゼロエミッションの推進、資源循環型社会の推進に大いに拍車をかけるものではないかと思う。和歌山県が誇れる野菜作り、食産業の基地としてのコスモパ―ク加太の再生とともに雇用の創出、そして自然環境に恵まれた中でのサイクリング等のアウトドアスポ−ツの振興につながってくればと思う。今後の研究会の進め方、温室設置のタイムスケジュ−ルについて聞かせてほしい。
(企画部長)研究課題として、温室の位置についての検討、経済波及効果について、雇用の確保について、都市計画法上の取扱い、上下水道、工業用水などインフラ整備、土地水平化造成にかかる検討、農地法と特区について等が挙げられるが、進め方として、解決のためのワ―キングを県・市・県公社で設置し、そこで協議した内容を、節目において、研究会を開き議論する。温室の設置は、第1期として平成16年8月温室5haと管理棟を着工、第2期として平成18年10月温室5hを着工、最終平成21年に温室20haが完成する予定。